(特に初心者に対し)よく言われていることに、「エアブラシを使うな」ということを各所で聞く毎に、私は委縮せざるを得なくなってしまう。
そう、ここで覚悟をキメてカミングアウトしなければならないことは、私はエアブラシでしか色を塗ることができない。CGを描き始めてもう20年くらい経つであろうが、ブラシで塗ることに違和感を感じるのだ。
勿論、私も初心者に対しては「エアブラシは本当にこれしかない、と思ったときに限り使うべきだ」という意見には賛成であるが、その立場で「お前が言うな」と指差されたとしても、それは仕方のないと認めざるを得ない。
ただ、ファクトとして「(特にキャラ絵に対しては)私はエアブラシでしか塗れないし、今後もエアブラシを使い続けるであろう」と予言する。
これは「Re: Armored Girl」の下塗りの状態である。要するに神絵師が言うところには「(これに対し)エアブラシで着彩するなど言語道断! ブラシで塗れ!!」と許せないそうなのである。よろしい、よろしい。私が悪うございます。
しかしその啓蒙も、20年前にしてほしかったな。20年前だったらまだ何とか軌道修正が出来た筈。
つまり、だ。「エアブラシなんてクソツール使わずにブラシで塗れ!」? そういわれると、昔も今も戸惑いを感じてしまう。「え、どうやって?」というのが、偽らざる私の率直な意見だ。昔も今も。
勿論、学生だった当時から試行錯誤した結果として残ったのが、「エアブラシ」というツールだったことは紛れもない事実である。
この絵は2001年、試行錯誤を繰り返しながらアウトプットしていた一部である。記録としては残っていないが、おそらくブラシで影を塗られている。いわゆるアニメ塗りにあたるものだろう。
個人的にはこの絵はあまり気に入ってはいない。当時も今も。
当時の判断基準というのが、「カラーピッカーを当ててみて、なだらかな変化を観察できる塗り」が良しとされてきた。それは間違いだったが、印象として「のっぺり」として平板に感じられてしまう。
少し時間を進めよう。これは2002年に描かれた駄作だ。ある草の根コンペに出してみたところ、圧倒的にドベという結果を残した、と記憶している。
おそらくはこの頃から「エアブラシなる駄ツール」を使って着彩を試みていたものと推察されるが、いまだ試行錯誤をしているという印象が強い。
もう一度時間を巻き戻そう。いわゆるアニメ塗りに傾注していた時というのはそれ程もなく、逆に珍しいというべきだろうと思われる。
これは2001年に描かれた駄作であるが、絵自体はともかく、塗りはこうした様式に徹底されるべきであった…のだろうか。
こう言っては何だろうが、あまりアニメ塗りを良しとしない自分がいて、結果的にブラシ塗りからエアブラシ塗りに乗り換えた…のではないかと推察される。
ベースには色鉛筆を使っていたところもあり、あまりパキッと明暗が付いた塗り方より、グラデーションの掛かった塗りの方を、結果として望んでいたんだろう。
というのも、ここでは私が色鉛筆で塗るときの塗り方の再現を試みた。ハイライトと暗くなる部分で意識しながら筆圧をコントロールして、陰になる部分には少しづつ別の色を差してやる。
おそらく美術を学んできた方々には噴飯ものの塗り方なのかもしれないが、こうした塗りの入れ方が性に合ってる。飯を飛ばしたい奴はここで吹かずにどっか見えないところで吹いていやがれ。
つまりは、色鉛筆という原体験があったからこそ、逆にブラシで着彩するのに違和感を感じて、事を(正解じゃないにしろ)最速かつ最適解で実現するためには、私にはエアブラシが必要であった、といえる。
お気づきの読者諸兄にはお気づきだろうとは思うが、私はあまりアニメ塗りというのが好まない、のかもしれない。
というのも、これはアルコールマーカーで塗られたものであるが、それを意識した塗りにはしていない。むしろ今の私の考え方である「色を何重に重ねていく」を良しとしているところかもしれない。
今のところ、それを違和感なく仕上げられるツールというのが、皮肉にもエアブラシなのです。
ご容赦ください。